情報は整理するものではなく検索するもの
社内SEをしていると、「会社のファイルサーバの深い階層にあるファイルが見つからない」
「メールの振り分け条件を細かく設定したら、どこに入ったかわからなくなった」
などのトラブルに遭うことがあります。
私からすると、「なんで自分の足を引っ張るような使い方してるの?」と思ってしまいます。
整理することはなんら価値を生みません
整理整頓は重要なのですが、整理整頓自体はなんら価値を生まない行為です。
整理整頓によって効率よくモノや情報が取り出せたときに初めて価値が生まれます。
まとめると、
(整理することによってモノや情報を取り出すのを節約できた時間) – (整理自体にかかった時間)
がプラスになったときに効果があります。
ふつうのモノであれば、上の式はだいたいプラスになります。
モノが散らかっている部屋の中で、捜し物をすると大変です。
普段から部屋やデスクを整理しておけば、
捜し物を見つけ出すのは格段に早くなります。
コンピュータによって情報を探し出すのは簡単になった
しかし、情報であればちょっと話が変わってきます。
乱雑に置いてあっても、「検索できるのであれば」探し出すのは簡単です。
検索キーワードに打ち込めば、Google先生が瞬時に探しものを見つけてきてくれます。
整理しなくても情報を取り出すのにかかる時間が少ないので、
整理して節約できたとしてもその効果が小さいのです。
なお、メールの振り分け設定は、コンピュータの力を借りる場面を間違えています。
メールの振り分け条件というのは、情報を整理するときにコンピュータの力を使っていますが、探すときには人間の力です。
検索して探すのは、情報は整理せず、探すときにコンピュータの力を借りるやり方です。
昔のPCでは高速に検索するためのリソース(メモリやインデックスを置くためのディスク領域)に余裕がありませんでしたが、
今日のPCでは余力が十分にあります。
まして、Gmailなどのクラウドサービスを使うのであれば、Google先生がやってくれます。
なので情報では整理せずに、使いたいときに検索する、という考え方が重要になります。
検索キーワードを思い出せない = 重要でない
このような話をすると、決まって「検索するためのキーワードが思いつかないときに困る」という反論をされます。
ただ、私にとってはそんなことはどうでもよいです。
なぜなら、「キーワードすら思い出せないなら、その情報は重要でない。むしろ忘れるべき。」と考えているからです。
もっというと、キーワードすら思い出せない情報、というのは自分で作ったものではなく、
他人にもらったもので、もらった時点では「あまり重要ではないな」という判断をされたものがほとんどです。
なので、最悪でもその人からもらい直せば済みます。(相手の時間を無駄に奪う行為になるので、最後の手段です)
検索を使いこなすための具体的な方法
私の場合、以下のルールを守るようにいつも仕事をしています。
- 業務はできる限りメールやハングアウトで行う。
- 紙で受け取った資料は、すぐにスキャン→OCR→Googleドライブに放り込む
- メールやファイルで「削除」は使わない。
- メールは案件が終わり次第アーカイブ
- ファイルも「old」フォルダにどかどか放り込む
- メールの自動振り分けやフィルタ機能は極力使わない
- どうでもいいメルマガのみ、「受信トレイをスキップ(アーカイブ)する」に設定
上記のルールで仕事を毎日していますので、
進行中の案件に関するメールは受信トレイに、ファイルはダウンロードフォルダに集まります。
これが案件が終わると、受信トレイやダウンロードから消えていきます。
要は仕事をすれば、自動的に整理が行われる、という状況です。
まとめ
私がこの考え方をどこで拾ってきたのか、よく覚えていませんが、
Gmailに触れたのと同時期でしたので、2005〜2006年頃のはずです。
調べてみたところ、2008年の書物ですが、
野口悠紀雄著の「超『超』整理法」という本の中の「分類するな 検索せよ」という言葉が有名のようですね。
Kindle版がないのがちょっと残念です。