「『銀行はもうすぐ終わる』という安易な未来予測が見落としていること」を読んで
元記事 :「銀行はもうすぐ終わる」という安易な未来予測が見落としていること
この人の文章、ツッコミどころ満載なのですが、
文章がわかりにくいためにツッコみにくいです。
話題があっちこっちに飛びすぎていて(頑張って勉強したであろうことはわかる)、
個々の事柄に理解が浅く、結論に至るまでの論理がなっていません。
そして、オープンAPI(Application Programing. Interface)で情報の共有も始まる。これはあたかも1つのインフラとなっていくようなものである。
「APIで情報の共有」という表現をするのは理解が足りない証拠です。
APIというのは名前の通り、情報へのインターフェースであって、情報そのものではありません。
だから、情報の「共同利用」が可能になるのであって、情報自体を共有するわけではないのです。
しかし、この電子化もスピードが速すぎると、ついてこれない利用者も出てくる、電子化が進んでいる北欧スウェーデンでは商店が現金の取り扱いをしなくなってきたために、年配の方が日常品の売買が出来なくなっている。そのため、電子化といっても、そのスピードも大事になって来る。
この段落の結論は「電子化のスピードが大事になってくる」ということになるのですが、
スピードを早めるべきか(一刻も早く電子化して年配者にも十分な教育の時間を作る)、
それとも遅くするべきか(ついてこれない年配者が死ぬまでは電子化しない)、
の2通りの意見が考えられます。
これをきちんと書かないと論評になっていません。
もっとも、重要なのは「集中化」である。銀行など金融機関をはじめとして、進んでいるのは分散化ではなく、集中化である。集中化してクラウド化するのが最近のインフラの流れである。
銀行システムはメインフレームの時代から、「集中」の最たるものなのですが、ご存じないのでしょうか?
また、集中化してクラウド化することのメリットとして、最近事件が多いハッキングやサイバー攻撃などの問題に対応できることがある。
これは何を言っているのかわからりません。
集中システムでは中央ノードが死ぬとシステム全部が死ぬし、中央ノードの制御を奪われたら終わりです。
「最近事件が多いハッキングやサイバー攻撃などの問題」というのもほとんどは標的が集中システムです。
(そもそも現状で実用化されているシステムはほとんどが集中型です)
銀行に最後に残される価値は「信用」ではないかと考えている。
銀行はしっかりとやってくれるという、任せていて大丈夫という基本的な「信用」こそ経営的価値になっていく。
「信用」に至る論理がそれまで書かれておらず、突飛です。
しかも曖昧な表現の文章が続きます。
その「信用」についても、銀行に務める人間より、(計算ミスや横領しない)システムが担保していると考えられます。
(人間は悪意を持って不正を働きますが、現在の機械は働きません)
信用を失った銀行は潰れるでしょう。
ただ、逆に信用があるからといって生き残れるとは限りません。
これは筆者自身がこの記事の前段に述べています。
公的機関(国や地方の公共団体)もニーズがある。基本的に巨額の財政赤字を抱えており、経営的な改善が望まれているからである。
この点で「しっかりやる人材」としての銀行員は評価されるものなのである。
これも最初に読んで意味不明でした。
「しっかりやる人材」が巨額の財政赤字を解決できるのでしょうか?
筆者はそれまでの文章で以下のように対比してきました。
- 今後は起業時から銀行が支援するので、銀行員には今までの仕事とは違う能力が求められる
- これに対し、今までの銀行員も、「しっかりやる人材」として信用が評価される
なので、公的機関からニーズがあるのは、今までの仕事とは違う能力を持った銀行員であり、正反対です。
筆者自身混乱しているのがわかります。
ニュースを広く集めているのはよくわかりますので、
もう少し理解を深めてください。
(なんかできない学生へのアドバイスみたいですね)